- 母が女将として現地にいた頃から石苔亭いしだにご来館くださっているお客様が、お誕生日にお出かけくださいました。すごいですよね。30年近く通ってくださっている事になります。つい、親しみを持って接したいと思うと、なれなれしくなってしまうところもあり、自粛自粛・・・・と自分の態度を反省する事が多々あります。宿の顔として母と一緒に現場を守ってきてくださっていた、しずえ仲居頭が、多くのお客様と石苔亭いしだの縁を作ってきてくださいました。
石苔亭いしだと同じ時間、同じ時代を通ってきてくださったこと、そんなお客様がいて下さることは、働く私たちにとても勇気を頂きます。そして、自分達の仕事の意味を深めてくださり、価値を感じさせていただけます。
本当にありがとうございます。そして、心からおめでとうございます。
そんなお客様に気づけるようになったのも、気づいてから初めて相手への意識が変わってくる自分も、ここ数年の事です。
私は、石苔亭いしだでの仕事を通じた出会いによって、多くの「幸せ」という考え方を学ばせていただきました。
「人は自分が直接かかわらない所でも、関わるところでも、多くの方々に支えられているということ。決して自分一人で自分の存在を作り上げているわけではない。」
例えばそんなことに気づけると、急に「感謝」が湧いてきて心がほっこり満たされる間隔を体験します。今までと環境も状況の何一つ変わらないのに、考え方、感じ方、今までの日常の景色が一瞬で変わって見えるのです。
「幸せ」のなり方、それは「考え方」とも言え、この「考え方」は、誰もが習得してゆく事の出来、与えられている平等なものであるということ。もちろん、習得するのに個人差はあります。そんな時、「百聞は一見に如かず」という言葉が適切なのか自信がないですが、石苔亭いしだで仕事を通じて出会うお客様との関係や仲間と過ごす日常の中で、今回の私の様に実体験を通じて理解しやすい仕事が出来るのが、石苔亭いしだを取巻く人の環境であり、魅力だと言えます。
私は、石苔亭いしだでの仕事が奥深く、働く側の私たちを幸せに導ける仕事であるという事を多くの人達に知ってもらいたいと考えており、実現させるための方法をどうしても考えたくなってしまうのです。