『源氏物語』に登場する『光源氏』と『空蝉』は、
阿智村にある名木『帚木(ははきぎ)』と関連があります。
空蝉は、光源氏が若かりし頃、逢瀬を初めて拒んだ女性です。
空蝉としては、心に思いはあれど、引かざるを得ない事情がありました。
しかし光源氏は、空蝉が近づいたと思ったら離れていってしまった。
それはまるで、遠くからはよく見えるけれど、
近づくとどこにあるのか分からなくなるという「帚木」のようであるとし、
恋路に惑う切ない胸中を訴えました。
この「帚木」は、人の心のうつろい、迷い、不確かなものの例えとして
多くの都人の歌に詠まれています。
今年の大河ドラマ『光る君へ』は、
『源氏物語』の作者、紫式部の生涯を描いた物語。
その後二人がどうなったのか、物語は続きます。
(帚木・場所)
帚木は伏屋と共に園原のシンボルとして
伝承や歌枕にその名を留めている名木です。
村道の「ははき木」の案内板の所から、
山道を約200mほど登った尾根のやや東に傾いた場所にあります。
桧の老大木で幹が二又に分かれていて、
その先は広がっていて帚のように見えたところから「帚木」といわれ、
また遠くからは際立って見えるが近寄ると
どの木であるか分からなくなると言われた。
このことからその不思議な木が、人の心の不確かさ、迷い、
物事の有無など「在る様で無いこと」の例えに使われ、
都において多くの歌等古典文学に使われました。
阿智村 「源氏物語・帚木プロジェクト」
阿智村には「箒木」や東山道・園原について学べるビジターセンターがあります。
気になる方はぜひ足をお運びください。