2026年10月1日
答えを求めに散策
旧前田家本邸へ行ってきました。

https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/259162

渡り廊下、庭との関係、室内から外を見る構成、どこにいても興味深いです。時間を忘れて、気のすむまで居座っていたくなる空間が、私の周りに出来上がっていました。

空気が違って感じるのは不思議です。今がどの時代なのか、日常を感じさせないと言えばよいのか・・・

書院造といわれる理由の一つに、この写真の場所があります(付け書院)。禅宗寺院の書斎に由来し、「書院=本を読んだり書いたりする部屋」を主室とした建築様式のことを書院造。
この出窓のようになっている障子の向こうには庭の緑が見えますね。秋になると紅葉した美しい「いろは紅葉」が、付け書院の欅の一枚板に移されるのだそうです。さぞ、美しい事でしょう。そして、なんて風流なのでしょう。
建築の匠職人さんの縁起担ぎと感じる知識もまた楽しいです。
写真の右側には床の間があります。天井には「竿縁」といわれる「棒」があります。これら建築の際に、床板と平行に竿縁を組んでいくそうです。日本において「床の間」は部屋の中で最も格の高い神聖な場所とされています。そこに棒を向けるのは失礼(不吉)と考えられたためですね。

聞いた話によると、「切腹の間」では、天井の竿縁の先端が、床の間の正面に向かって突き刺さるような向きで配置されてます。これを「床刺し」と呼ばれるそうです。刀で床の間を刺すような視覚的印象を与え、縁起が悪い、と考えられたとか。
書院造が日本の武家社会時代に生まれた背景が、こうしたところからも見えてきます。
石苔亭いしだは、総檜の能舞台「紫宸殿」、外の門には木造の大きな門「羅城門」、館内の客室には数寄屋風建築、としています。自分が年齢と合わせて価値観を持つようになったのか、共に過ごした建物との時間が私に変化を与えたのか、石苔亭いしだがとても魅力を秘めていると感じています。今、満足できないところもいっぱいありますが、だからこそ、今からの時間でもっともっと魅力的になる可能性があるという事です。だから、私は学びたくなりました。知りたくなりました。見つけたくなりました。今日は、そんな「ふわっ」とした散歩です。

「梅鉢紋」を別名「加賀梅鉢」とも言うようですね。それほどに加賀藩前田家は歴史上、大きな存在だったのでしょう。私達が家紋をむやみに使う事は不自然ですが、襖金具に添えられている♡ハートのデザインは別物です。
猪目模様(いのめもよう)といい、日本古来の伝統文様で、「魔除け」「厄除け」「福を招く(招福)」という意味が込められているようです。曽於いわれの理由は、
・ 猪(イノシシ)の目に似ていることから、猛獣の目力で災いや悪霊を追い払うと信じられてきた。
・ 猪は火伏せの神様の使いとされ、火災から建物を守るまじないと使われてきた。
・ 猪の目のほか、お釈迦様ゆかりの「菩提樹の葉」を模した
という説もあるそうです。
こうして、意味を知るだけで、この時間が一段と上質な時間にかわったような気がします。

石苔亭いしだは、約3000坪の敷地に完全な平屋建てとして、和文化を大切にした営業を心がけています。しかし、建物の維持管理、職人の確保、建築材料の確保、時代の流れによる生活習慣・機能性が求められる背景等、多くの面で直面する課題が出てきます。後継者として、今私が見つけたい答えは何なのか、自分の中にある答えを見つけるための時間を過ごしてきました。